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アメリカに根付くセカンドチャンス文化(1/2)

チャンス 代替 方向 - Pixabayの無料写真

こんにちは。管理人です。今回はアメリカのセカンドチャンス文化についてのトピックです。日本や韓国では芸能人などのスキャンダルが出るとなかなか再復帰が難しかったりしますよね。それに比べるとアメリカは比較的そこに関しては優しい方だと思います。では、何故アメリカではセカンドチャンス文化が浸透しているのでしょうか。そこを探っていきます。

1.学校教育
アメリカでは日本より教育の選択肢が豊富である。これをオルタナティブ教育と呼び、モンテッソーリ教育やホームスクーリングなど個人個人に合わせて教育スタイルを選べるシステムのことです。
 
例えば、カリフォルニア州オレンジ郡にある不登校学習センター(TLC:Truancy Learning Center)には、全日制コースと個人学習コースがあり、生徒のさまざまな問題や要求に対応している。全日制コースでは、1人の先生がほとんどのクラスを教えるため、先生と生徒との関係が築きやすい。また、コミュニケーションが図りやすくなり、生徒同士のケンカやトラブルを早期に防止できる。個人学習コースでは、自宅で好きな時間帯に勉強することができる。また、クラスが退屈な生徒、銃犯罪や校内暴力などのいじめが怖くて学校に行けない生徒、家庭が貧しくて働かなければいけない生徒などにとっては良い環境だ。アメリカでは、このような特別学習センターが各地に設立されている。

オルタナティブ教育は、生徒を型にはめないことで、自主的にさせることができ、意欲的に参加することで、生徒のセカンドチャンスに実質的につながっていることがわかる。

2.犯罪者の社会復帰
日本では1度過ちを起こすと、社会復帰することが難しい。しかし、メジャーリーガーのダルビッシュ有投手は、アメリカでは1度過ちを起こしても、もう1度チャンスを得ること
ができると主張している。レンジャーズのジョシュ・ハミルトン外野手は、2001年の交通事故による怪我の治療中、期待の重圧にこたえられないことからコカイン依存症に陥った。しかし、度重なる挫折を経験しながらも、2005年頃には、アルコールや薬物との決別の意志を固め、再起した。その数ヶ月後には独立リーグから契約の打診が来るようになった。同じくレンジャーズのロン・ワシントン前監督も2010年に、コカイン使用が明らかになった後も監督を続けている。
スポーツ選手だけではなく、俳優もやり直しの機会を与えられている。ロバート・ダウニー・ジュニアは、薬物問題で6回逮捕されているが、それでも『アイアンマン』シリーズのオーデションで主役に抜擢されている。15 このように、アメリカではセカンドチャンスを与えられやすいことがわかる。矢部武は「アメリカの少年犯罪者の更生施設を取材して驚くのは、施設と更生プログラムの多さ、柔軟性である。そこには、少年犯罪者にやり直しのチャンスを与えようという考えが深く根づいていることを実感させる」と述べている。

3.リストラ、ホームレスなど社会的弱者の社会復帰
アメリカではリストラ社員にもやり直しの機会が与えられている。アメリカには、再就職を専門に支援するアウトプレースメント会社が数多く存在している。アウトプレースメント会社では、再就職希望者に対して、精神的なサポートとともに、短時間で最適な就職先を見つけるために、履歴者や職務経歴書の書き方、就職の状況の提供、ビジネス・リテラシー教育など幅広いサービスを提供している。

アメリカでは、ホームレスにもやり直しの機会が与えられている。アメリカは、先進国で豊かな国の一つでもある。しかし、ホームレス問題は深刻だ。アメリカには、ホームレスを組織的に支援する非営利団体や教会が数多く存在している。 カリフォルニア州サンフランシスコ市にあるホームレス救済センター、セントラルシティ・ホスピタリティハウ(CCHH:Central City Hospitality House)では、ホームレスたちが創造性、自信、プライドなどを取り戻し、社会復帰できるように支援している。また同市にあるセイント・アンソニー教会では、ホームレスに食事や宿泊場所を提供している。 アメリカ政府も、貧困家庭への経済的支援、失業者の職業訓練、低所得者専用の住宅建設推進などに積極的に取り組んでいる。この背景にはホームレス問題は、個人だけではなく社会にも責任があるとの考え方が広く浸透しているという実情がある。そのため、政府や社会がホームレスに対し、人生をやり直すための機会を与えているのである。

今回はここまでになります。次回の後半ではセカンドチャンスとキリスト教、移民文化、西部開拓について取り上げます。それでは、また来週!ノシ

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