「市内で9分毎に1人が死亡」
「NYPD(警官)900人感染」
「病院の外に死体安置テントを設置」
携帯電話に毎日ショッキングな速報が飛び込んでくる、ここ最近は頻繁に。
3月29日、ニューヨーク州におけるCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染者数は5万9513人、死者965人、ニューヨーク市では3万3768人、死者678人となった。詳細
先のまったく見えない中、アンドリュー・クオモ州知事はこの日の記者会見でこのように述べた。
「COVID-19に関して人々は今2つの恐れと戦っている。1つはウイルスへの恐れ、 もう1つは生活の現状や先行きへの恐れだ」
失業率20%の可能性も
新型コロナウイルスのパンデミックは雇用を直撃し、多くの人々が失業している。筆者の周りでも、レストランのシェフやサーバー、バーテンダー、ツアーガイド、ミュージシャン、美容師らが一気に職を失った。主に輸送、レジャー、ホスピタリティ、製造部門への打撃は甚大と言われており、世界大恐慌以来の規模で今後経済に大混乱をもたらすことが予想されている。
特にニューヨーク経済の底辺は飲食業が支えていると言われるほど、レストランやバーが多い。市内のレストラン数は2万6000以上といわれており、飲食業界の影の労働力として欠かせない違法滞在者も普通のアメリカ人も見境なく、多くの人々が失業した。失業者の数は32万人とも言われている。
失業したのは従業員だけではない。レストラン、ショップ、ツアー会社や美容院などスモールビジネスのオーナーらも今、路頭に迷っている。
スターシェフのトム・コリッキオ(Thomas Colicchio)氏は、自身が経営する全米7つのレストランで300人の解雇に踏み切った。飲食業界のアナリストらは「この危機により現在閉鎖中の75%の飲食店は、今後も恒久的な閉店に追い込まれるかもしれない」と語っている。
今後、失業率20%も想像に難くないと囁かれるアメリカでは、失業保険の新規申請件数がこの1週間で320万件以上にもなった。この数は前週に比べて10倍以上で、過去最大だった1982年10月の69万件も大きく超える人数だ。
失業保険申請のオフィスに繋がらない
混迷を極めているのは医療施設だけではない。
クオモ知事は13日の記者会見で、州では早くから失業者増加を予想し、この危機により仕事を失った者は失業保険給付の申請までの待機期間7日間を廃止する措置を取ると発表していた。しかし現状では、失業者は失業保険給付オフィスに電話してもまったく繋がらない状態だという。多くの人が朝からいっせいに電話をするため、パンク状態のようだ。2週間以上も。
失業→来月の家賃が払えないニューヨーカー
失業給付金も容易に受け取れない今、人々が恐れているのは来月の家賃だ。家賃の支払い日、4月1日があと数日に迫っている。
東京よりも随分と高いニューヨークの平均家賃はスタジオが月2500ドル前後(約27万円)、1ベッドルームが月3000ドル前後(約32万円)。家賃が収入の30%以上、中には40、50%以上を占めているケースもざらにある。1人暮らしができずにアパートを複数のルームメイトとシェアするのは、この街ではごく普通だ。
アパート検索サイト、プロパティーネストが全米50州に住む人々を対象に実施した最近の調査では、外出制限を強いられている状況では、多くの人が連邦政府から家賃の免除などの救済措置を受ける必要があると答えている。
またニューヨーカーの38.9%が、失業した状態で来月の家賃を払えないだろうと回答した。(向こう1ヵ月分の家賃まで払えると回答したのは13.9%、2、3ヵ月が8%前後、4、5ヵ月が3%前後、6ヵ月以上が25.2%前後という結果)
筆者の周りを見渡しても、特に生活に困窮した様子は見られなくても実は貯蓄がないという人がとても多いので、この回答結果はなんとなく予想範囲内だった。
来月の家賃の支払い期日、4月1日が近づくにつれて、ツイッター上ではハッシュタグ「#CancelRent」(家賃のキャンセル)が飛び交っている。
これに対し、バーニー・サンダース氏は、ニューヨークの家賃一時停止法案を支持。「住宅ローンの支払い(の90日間の延期措置)、(家賃未払いテナントの)立ち退きの90日間阻止、(電気代などのユーティリティが支払えないテナントの)追い出し禁止措置に加え、ニューヨークのような被害が最も大きい州では、家賃の支払いを一時停止する必要がある」
サンダース氏のツイートにもある通り、現在、ニューヨークを含む多くの州では、住宅ローンの支払いと不動産差し押さえの訴訟手続きの一時停止、居住用・商業用を問わず家賃未払いの住民のアパートの立ち退きや財産の差し押さえは90日間は強制されないこと、州からの借金(学生ローンや医療ローンなど)は少なくとも30日間凍結、納税期限を3ヵ月後倒しし7月15日にするなどの救済措置が取られている。
だが、どの政府機関も家賃支払いの凍結などについては発表がない。
第二のサブプライムショック到来?
利下げによりマネーがあふれるアメリカ。そんなアメリカで、投資家の人気を集めるのが「CLO」=ローン担保証券と呼ばれる金融商品だ。しかし、2008年、世界に金融危機を引き起こした「第2のサブプライムローン」になる危険性も指摘されている。日本にも大きな影響を与えるかもしれないCLOとは何か。
CLO=Collateralized(担保)Loan(ローン)Obligation(義務)。日本語では「ローン担保証券」と呼ばれる金融商品の“売り物”は、企業が銀行から借りた「借金」。企業の借金をどのようにして金融商品にするのだろうか?
銀行が企業へ融資など貸し付け(企業の側から言えば借金)をすると、銀行は企業から、利息を付けて返済してもらう権利を得る。これが「債権」だ。こうした債権を細分化し組み合わせて商品にしたものが「CLO」で、投資家などが購入している。この「CLO」は、11年前の2008年に金融危機を引き起こしたサブプライムローンと、借金をする企業(サブプライムの場合は個人)の「信用度が低い」という点が似ている。
日本も他人事ではない
とりわけ多いのが全国の農協から集めた資金を運用している「農林中央金庫」。実に8兆円のCLOを持っています。金融業界では保有額の大きさから「CLO界のクジラ」とも呼ばれているそうです。ほかにも大手金融グループの「三菱UFJフィナンシャル・グループ」が2兆6000億円持っています。もしCLOが紙くずになったら…。
お し ま い
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