近年、奨学金を借りに来る学生が急に増えたという。以前から、大学の進学率が上昇したことなどが理由として挙げられていたが、今回はそれだけではなさそうだ。
大半の大学生の親の年齢は40~50代である。現在の40~50代といえば、就職氷河期世代、俗にいう『ロスジェネ』である。彼らの多くは正社員になれず、派遣社員として働いているため、満足のいく収入はない。おまけに、2008年のリーマンショックで多くの派遣社員がリストラされた。そいうった親の元で育ったのだから、経済的に学生ローンを組まざるを得ないという理由はよく分かる。
しかし、私は問題は別の所にあると思う。それは私立と国公立の比率である。国公立大学の割合はOECDの調査で加盟国平均の約70%に対し、日本は21.2%で、逆に私立大学の割合は加盟国平均の約31%に対し78.8%もある。学生たちは学費が安く、就活の時に足きりに遭わない程度の大学に進学しようとするが、国立の場合、僅かな名門大学(東京一工など)と多くの駅弁大学に分かれるため、多くはMARCHや関関同立の私立を目指すことになる。
では、アメリカはどうだろうか。アメリカも4000以上の大学が存在するが、アイビーリーグを除けば名門大学のほとんどは州立大学だ。アメリカの州立大学も決して学費が安いわけではない。日本人が通う場合、1年間で約400万円近くかかる。しかし、アメリカ人の場合、その州内在住者であれば、学費が州外在住者の半分近くまでプライスダウンするのだ。さらに、優秀なアメリカの学生は高校時代にGPAと課外活動に注力することで、多くの給付型奨学金を集めて学費を軽減するのだ。
また、コミュニティカレッジ(コミカレ)と言われる2年制短期大学を上手く活用する者もいる。最初の2年間だけ学費の安いコミカレに通い、ある程度単位を取得し、3年から4年制の大学に編入するというコースだ。これも悪くないと思う。履歴書で重要なのは最終学歴なのだから。
ただ、やはりアメリカにも学生ローン問題は存在する。しかも日本より状態は深刻だ。こちらの記事を見てもらえばわかるが、既にアメリカの学生ローンは100兆円を超えている。(アメリカの学生ローン:https://www.businessinsider.jp/post-186034)
アメリカのドキュメンタリー映画「学歴の値段」(動画リンク:https://www.youtube.com/watch?v=SIjpI-a8hf0)は大学が設備投資や教員の給与を上げたことにより、学費が高騰したと語っている。しかし、その一方で就職率は大したことはなく、学費に見合った対価を勝ち取るのは容易ではない。
こうした問題を受けてアメリカでは現在、オンラインキャンパスで講義を受けるスタイルも増えており、ナノディグリーという2,3週間でオンラインで修了書が貰える民間サービスも流行っている。技能の陳腐化が急速な現代ではこちらの方がノーリスクかもしれない。
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