ツイッターを舞台に、トランプ大統領とオバマ前大統領の争いが激化している。
共和党のトランプ大統領と民主党のオバマ氏の対立は有名で、トランプ大統領は、オバマ氏の実績とされるオバマケア(医療保険改革)を廃止したり、イランとの核合意やパリ協定から離脱するなど、前大統領が苦心した政策を次々と無効にしてきた。
そうしたなか、5月9日、オバマ氏がトランプ大統領のコロナ対策を「大惨事」と批判したとの情報がメディアをかけめぐった。さらに、米司法省が元大統領補佐官の「ロシア疑惑」に関する起訴を取り下げたことについて、「法のルールが危機にさらされている」と懸念を表明した。
この流れを受けて、トランプ大統領が自身のツイッターに「OBAMAGATE!」とツイート。さらに「オバマゲートで逮捕」などとツイートしたことで、一気にトレンド入りした。この話題に関する投稿は、一時期300万件を超えた。13日には、ホワイトハウス公式ツイッターも「OBAMAGATE」と書いている。
「オバマゲート」とはオバマ氏の名前とウォーターゲートを組み合わせた造語で、日本語にするなら「オバマ疑惑」だ。
ウォーターゲート事件は、ニクソン大統領(共和党)時代、何者かが民主党本部のあるウォーターゲート・ビルに盗聴器を仕掛けようとして侵入し、後にホワイトハウスの関与が暴露されて、大統領が辞任に追い込まれた。以降、アメリカでは政界の疑惑があるたび、「~ゲート」と名づけられることが多い。
実は、前日までは「トランプゲート」という言葉がトレンドだった。
トランプゲートという言葉は、少なくとも2016年から使われている。1つの事件に関してではなく、反トランプのコメントが多く寄せられるハッシュタグである。トランプ大統領は、このタグに対抗する意味で、オバマゲートという言葉を使ったのだろう。
翌日の記者会見で、記者が「オバマゲート」について質問すると、トランプ大統領は「オバマゲートは自分が大統領になる前から始まっている。情報はこれから公開される。今はまだ始まったばかりだが、恐ろしいことが起こったんだ。この国でこんなことが許されてはいけない」と説明する。
記者から具体的な罪は何かと質問されると明言は避け、よそのメディアを読むようコメントした。
いったい、オバマゲートとは何なのか。
ネット上に広がる真偽不明の情報としては、オバマ氏が、バリー・ソエトロというインドネシア人で、不法入国後に出生証明書を偽造。資格がないにもかかわらず、大統領になったというものだ。ネット上には、インドネシアの学校手続書などの書類が出回っている。
トランプ大統領も、ツイッターで
《私は一生言うつもりはなかったが、バラク・フセイン・オバマ大統領、別名バリー・ソトロは、ジミー・カーターより悪質な大統領だ!》(2014年10月24日)
《オバマ氏の「出生証明書」のコピーを検証した州保健局長が、今日の飛行機事故で亡くなったのは驚きだ》(2013年12月13日)
などと書いている。各種報道を見る限り、どうやら証拠はなさそうで、トランプ大統領自身、2016年にはオバマ氏の出生地はアメリカだと認めている。
また、トランプ大統領には、2016年の選挙でロシアと共謀して勝ったとする「ロシア疑惑」がある。この疑惑が、オバマ氏がFBIを使って仕組んだとする陰謀論を「オバマゲート」とする説もある。いずれにせよ、トランプ大統領が、なんとか反撃したいことがわかる。この件に関するオバマ氏の反応は伝えられていない。
オバマゲートは、11月の選挙へ向けた単なるトランプ節なのか、それとも何か証拠が出てくるのか、いずれ明らかになるだろう。
コメント
コメントを投稿